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データ図表だけをチョイスし、
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「逆走」を代名詞とする事故や免許返納など、高齢ドライバーに関する話題は事欠かないが、実際の数字上ではどうなのだろう?小稿では、比較的新しい警視庁のデータを紐解きながら、その実態の一片を把握しておきたい。
図1.は、東京都内の交通事故総件数と高齢運転者の関与事故の件数の推移を経年、時系列で見たもの。
喜ばしいことに交通事故総件数は、大幅に減っている。平成18年を100として平成26年はなんと50。都内の交通事故は半数にまで下がった。行政はじめ警察・地域の方々の啓発活動や制度改革、インフラ整備の賜物ではあるが、こと高齢者に限るとその恩寵はまだまだ、行き届いていないと言える。全体では半減しているが、高齢運転者関与の事故だけを取り上げると、同じく平成18年を100とすれば88。減少率はわずか12%に留まっているのである。10年前と比べて目覚ましい進捗はさしてないと言ってもよい。
交通事故の少子高齢化傾向は、総件数に占める高齢者関与事故の構成比をみれば、さらに顕著である。(図2.)
平成18年では高齢運転者関与事故の割合は10%強。それが平成26年になると20%強とほぼ倍化している。圧倒的な人口ボリュームのある団塊世代が高齢ドライバー化したのに加え、少子化・若者のクルマ離れと相対的に構成比が上昇するには、それなりの理由があるが、それにしても5件に1件は高齢者がらみだと考えれば、軽くいなしておける問題でないことは確かである。
では、高齢運転者の事故は何によって引き起こされているのだろう?
図3.は、発生した交通事故の原因を人的要因別に見たもの。わき見や考え事などによる「発見の遅れ」が高齢運転者の事故原因の圧倒的なシェアを占めていることが一目瞭然だ。
警視庁の啓発資料によれば、「高齢運転者は自分では心がけているつもりでも、他人が客観的にみると安全運転とは言えないところがある」とした上で、事故の根本原因を
1.注意力の低下
2.瞬間的な判断力の低下
3.過去の経験にとらわれる傾向
上記の3つであるとしている。もちろん加齢に伴う動体視力の衰えや反応時間の遅れなど、身体機能の変化も否めないが、「考え事」という要素も高齢者の場合、結構大きいのではないかと思う。
交通心理学の専門家、帝塚山大学副学長の蓮花一己先生は「白昼夢」という言葉でこのあたりの事情を語っておられる。
↓くわしくは、「室長の小部屋 -交通心理学の専門家に聞く-高齢者ドライバーが抱えるリスク」へ。
http://www.nspc.jp/senior/archives/1171/
運転中に限らず、高齢者が「どのような状態で事故に至ったか」を比率で表したのが図4.。高齢者の危険は車体の中に潜んでいるといってもよい。「歩いていたお年寄り」がはねられるという、従来のイメージは今ではウンと希薄になっているのだ。
合わせて心しておかねばならないのは、高齢者は被害者になるより加害者になるリスクのほうが高いということだ。歩行中を除く86.9%は、加害と被害、双方のリスクを内包しているからである。(因みに、高齢者の交通事故を時間帯別に見れば、意外なことに午前中の10時~12時までの事故発生件数が、一日のうちで最も多い。朝の「逢魔が時」であると心しておきたい。図5.)
かと言って、高齢者のリスクを考えて、「運転を控える」ことはさらさらない。生きがいの人も、必需品の人も、脳力開発が目的の人もおられるだろうから。
むしろ課題は、このような特性や傾向を充分に認知しながら、マーチャンダイジング力、マーケティング力で解決していくことだと思う。その努力をマーチャンダイザー、マーケッターは怠ってはならない。
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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2018年4月6日
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2018年4月3日