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室長の小部屋

シニアの旅行でのニーズ(3) 「インタフェイスのバリアフリー」

シニアはさまざまなインタフェイスで戸惑う

 企画ツアーでない個人旅行となると計画、実行、フォローそれぞれの段階でいろいろなインタフェイスと遭遇する。そして多くの場合、シニアにとってそれらのインタフェイスは使いにくかったり、不親切であったりする。今回の旅行で感じたインタフェイスのバリアフリーについてもまとめておこう。

旅行の予約サイト

 個人旅行の場合、旅行の手配をどうするのか。いちばん簡単なのは、日程と目的地、宿に対する希望を決めて旅行代理店に相談するというやり方。代理店は後から苦情がでないように実績のある無難なルート、宿を選ぶ。しっかりした旅程表を作ってくれるので、いつでも予約内容を簡単に確認できる。うっかりミスが多いシニアにはありがたい。シニアの旅行としてはいちばん安心だが、コスト的にやや割高になりがち。

 次に、ルートは自分たちで決めてから、旅行案内書や宿のムックなどで宿を探す。飛行機、レンタカーやフェリーなどもあわせ、自分で直接、電話して予約するやり方。手間は掛かるが旅行の希望をいちばん反映できる方法であろう。だが予約した内容や連絡先などをしっかりメモして置かないと、日時の勘違いやトラブル時の連絡先がわからない、といったことになりかねない。

 ネットのトラベルサイトで検索して交通機関も含め、予約する方法もある。
パソコンの扱いに慣れたシニアでないと難しいが、お得なプランがあったり、ポイントがついたり…。

すぐに忘れてしまう旅程も印刷画面をプリントアウトして持ってゆけば安心だ

すぐに忘れてしまう旅程も印刷画面をプリントアウトして持ってゆけば安心だ

 スマホやタブレットがあれば、旅先からでも予約内容を確認することもできる。各サイトとも、予約は電話でもできるようにもなっている。アナログな方法だが入力ミスでのトラブルも回避できる。シニアに限らず、このやり方で予約する人も多いと聞く。

 トラベルサイトの予約ではポイント付与だけでなく、旅先の自治体からでている「ふるさと割」が利用できたようだ。
結構な金額が補助されているので合わせると一人、数万円お得になったかもしれない。しかし出張の手配でいつもトラベルサイトを使っている私でも手続きが複雑でわかりにくい。デジタル・ディバイドを避けるために、シニアがより使いやすいインタフェイスとするためにさらなる工夫が必要だろう。

航空券の手配

 今回の旅行で、九州までの往復は飛行機を利用した。航空券は便だけを決めておいて各自で手配することに。では、どのように航空券を手に入れたか。80代の長老はいつも使っている駅前の旅行代理店で購入。60代の友人は出張の時と同じように会社の秘書役の女性が取ってくれたらしい(経営者はいいね)。私はマイルの特典を使った。

交通機関でネットといちばん親和性が高いのが飛行機だ

交通機関でネットといちばん親和性が高いのが飛行機だ

 スマホを使いこなせば、予約購入から搭乗のゲートインまでスマホだけで済ますことができる。しかしシニアがネットで購入するのはまだまだ難しい。以前に比べればかなり改善されているが、機能が多すぎてわかりにくい。使いこなすユーザーにはどんどん便利になっているのだろうが、慣れないシニアユーザーには鉄道の複雑な券売機と同様、その便利さが邪魔をしている。「簡単購入」のようなボタンでシニアでも簡単に予約、購入できるプロセスを導入してほしい。

慣れないレンタカーの運転では

 今回の旅行で使ったレンタカー(ホンダフィットのハイブリッドタイプ)のシフトレバーが使いにくくて困った。普通のシフトレバーが一直線の「I型」であるのに対して「H型」に操作するタイプ。とくにリバース(バック)とニュートラルへの操作が分かりにくかった。「H型」のほうがスピーディに操作できるそうだが、シニアは運転中にシフトレバーを頻繁に操作することはない(オートマチックの場合)。私には直感的にわかる「I型」のほうが良い。

私には直感的にわかる「I型」のほうが良い

私には直感的にわかる「I型」のほうが良い

 これから高齢化が進み、ドライバーに占めるシニアの割合が高くなる。現在でも65歳以上のドライバーは29歳以下のドライバーより多い。以前、交通心理学の蓮花教授のお話をうかがったが、シニアはどうしても注意が散漫になりがちとのこと。できるだけ機械的操作はシンプルにして、より多くの注意を運転に振り向けられるようにしてほしい。

「シニア向けカーナビ」がほしい

 マン・マシン・インタフェイスの面で一番困ったのがカーナビの操作。これはレンタカーに限った話ではないが、自分の車のカーナビも十分使いこなせないのに、これまで使ったことがないカーナビの操作はシニアにとって、いっそうハードルが高い。

 ちょっと誤って画面に手を触れると全く違う機能の画面になり、どうしたら元に戻せるのかわからない。仕方がないので、車を路肩に寄せて停止して一から操作し直すということになる(「『戻る』ボタンの大切さ」参照を)。

シニアが期待している「自動運転」。行く先の設定などカーナビに共通する部分が多いはず

シニアが期待している「自動運転」。行く先の設定などカーナビに共通する部分が多いはず

 目的地や立ち寄りの設定もわかりにくい。目的地に向かう途中、本当にこれでいいのかと何度も不安になった。目が悪くなっているシニアにとって細かい地図を見なくても目的地につけるカーナビはなくてはならない存在。だからこそ、シニアが操作しやすいカーナビが求められている。

 乱暴な計算だが年間出荷台数を約500万台とすると、その28.2%(免許保有者のうち60歳以上の割合:警察庁 平成25年版 運転免許統計)、つまり約140万台は60歳以上のシニアが使っていることになる。機能を絞り、表示を大きくしてシニアが使いやすいカーナビ(らくらくフォンのような)を作ればそのメーカーはシェアを高めることができると思うのだが…。

旅でその人の本質が現れる…

 とはよくいわれること。人の性格、クセ…1泊や2泊では分からないが、長く一緒に旅を続けていると、日頃は気が付かない、見落としていたことが見えてくる。同じようにシニア同士で旅を続けていると、シニアの困り事が浮かび上がってくる。旅で見えてきたシニアのニーズは旅だけではなく日常のニーズに繋がっている。そこにシニアに向けてのさまざまな製品やサービスの創造や改善のヒントがあるはずだ。

    株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 倉内直也

<シニアマーケティングに関するお問い合わせ>こちらのメールアドレスにお気軽にご連絡下さい。

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