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室長の小部屋

「シニア」という言葉を使わずに、シニアに情報を伝える方法と具体例。

  • 2012年10月5日

「これは広告でないという広告」がこの世に存在しないのと同じように、「宣伝と気づかれないような宣伝行為」もまた存在しない。「食べログ」や「アマゾン」の偽レビュー騒ぎで私たちが学習したことは、「ヤラセ」や「サクラ」が導いたのは「ブランドの死」であって、「マーケティングの成果」では決してないということだ。見込客がシニアであっても事情はまったく変わらない。消費者に宣伝と気づかれないような宣伝行為=ステルスマーケティング(ウィキペディア)が、シニアだけに通用するわけはないのである。では、どうしたら良いのだろう。

博報堂新しい大人文化研究所の調査によれば、「何歳になっても若々しく前向きな意識を保ちたい」という50代は調査対象の約8割にもなった。同じく「何歳になっても若々しい見た目でありたい」人も8割くらいいる(略)間違っても「成熟したい」などとは思わないし、「成熟した」と思われたくもない。これが今どきの50代の圧倒的多数派である。従ってシニア向け商品なりサービスに「シニア」は禁句だ。ネーミングやキャッチコピーに「シニア」と書かれた瞬間に、今どきの50代は「あっ、それ私(俺)向けじゃないね」と受け止める。「いきいき」「悠々」「お達者」……すべて論外である。

竹林篤実「シニアに売りたいならシニアと言っちゃダメ!」
BuisinessMedia誠 2012.08.03

ちょっと見はステルス推奨のように見えるタイトルだが、そうでないことは記事を読めばわかる。大切なのは、「何を言うか」(=シニアの知りたいことを言う)であって、「どう言うか」(=シニアに気づかれないように言う)ではない、と竹林さんは主張しているのである。シニア対策として彼がすすめるのは、たとえば、こういうやり方だ。

「50代になってもジーンズが似合う、格好いい大人でありたい」と考える人が、50代で64.1%いる(前掲紙)ということを、嗅ぎつけている企業が当然ある。少し前、さまざまな年代の人が、ブルージーンズにオフホワイトのオックスフォードシャツを着こなすCMが流されていた。各年代の中には、さりげなく50代も混ぜられていた。うまいやり方だ。

竹林篤実「シニアに売りたいならシニアと言っちゃダメ!」
BuisinessMedia誠 2012.08.03

ちゃんとシニアもまぜてるのである。シニアに気づかれないはずはない。「シニアと言うな」とアドバイスはしても、「気づかれないように言え」とは竹林さんは一言も言ってない。ステルスの出番はないのである。

つづめて言えば、マーケティングとは「情報をマーケットに届けること」である。従って、シニアマーケティングとは「シニアに情報を届けること」である。やることは2つだけだ。1)シニアに理解できる情報を届けること 2)メディアは費用対効果でチョイスすること。大金をはたいてもしっかり伝わらなければ、マーケティングは失敗なのである。そんなことは百も承知のまっとうな企業(とくに流通)は、すでにやることはやっている。以下に、最近の事例をあげる。

事例1)東京の京王百貨店

買い物に疲れた高齢者のため店内の所々にいすを置き、案内板も大きな文字で表示した。店員は高齢者の信頼を得やすい50‐60代を中心に配置し、棚の高さにも配慮している。

事例2)東京都心にある上島珈琲店

テーブルといすは、ほかのコーヒーショップに比べて低い。体がぶつからないよう、テーブルの間隔も広めに取られている。コーヒーと一緒に出すケーキやフードのメニューは、軟らかくてあごに負担がかからないものが多い。一般のコーヒーショップ・チェーンと違い、ドリンクやフードを店員が席まで運ぶ。看板やメニューも大きな文字で見やすく書かれている。

(以上、The Economist Jul 30th 2011より)

上島珈琲店 成城店

失われつつある日本の喫茶文化を大切にした、懐かしく温かで、しかしかつて何処にもなかった大人のための珈琲店です。本格ネルドリップコーヒーやミルク珈琲、サンドウィッチをくつろぎの空間でお楽しみいただけます(上島珈琲店のサイトより=写真も)

事例3)4月に開業した千葉県船橋市のイオンモール船橋

34脚据えられた休憩用ソファの座面は、床から35㎝、38㎝、42㎝の3種類。高齢者の身長と座高を想定して3つの高さを算出した。結果的にほとんどの高齢者が座ったのが高さ42㎝。イオンは1994年以来、店作りに独自のUD基準を採用してきたが、今回は予想が外れた。「4〜7㎝の差が高齢者には大きいことを痛感した」(同店)。成果は他店にも応用する。

事例4)高島屋の東京店

化粧室の荷物棚が他社より3割低い80㎝。背が低かったり腕力が衰えたりしたシニアが買い物袋などを楽に置ける高さにした。

事例5)セブン&アイのショッピングセンター「アリオ橋本」(相模原市)

路上に描く駐車場の誘導矢印が幅40㎝と通常の2倍。米国で視察したモールの表示を参考にして視認性を大幅に高めた。

事例6)ロイヤルホールディングスの「ロイヤルホスト」

テーブルの照明の明るさを2倍の200ルクスに変更中。創業以来、高級感を演出するため暗めにしていた照明に対し「メニューが見づらい」という高齢者の苦情が増えたためだ。

(以上、日経MJ 2012.09.05より)

ロイヤルホストのモーニングメニュー(ロイヤルホストのサイトより=写真も)
「シニア向け」とはどこにも書いていないが、エッグベネディクト(写真)、フレンチトースト、パンケーキなど「軟らかくあごに負担がかからない」メニューが上位にレイアウトされている。

(津川義明)

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