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次世代シニア、50代の消費意識考(65以上との異同を軸に)④

図9.は、商品やサービスを選択する上で、表示や説明を重視しているかどうかを問うた設問の結果。

各年代で大差はなく、未成年を除くすべての年代で、65%以上を記録。表示や説明という、日本語表現(コピー及びデザイン)が如何に大切かを改めて気づかされる結果となった。

各年代押しなべてハイスコアの中で抜きん出ていたのが50代だ。「表示や説明を十分確認し、その内容を理解した上で商品やサービスを選択する」ことを心がけている人は、70.6%。これは全年齢層の中でトップの数字だ。ことに女性はこの傾向が強く、73.7%。これは、男女別、年代別全階層の中で断トツの数字である。

最後にご紹介する設問結果は「環境に配慮した商品やサービスを選択する」かどうか。(図10.)
「心掛けている」と答えた人は、全年齢層平均で48%。50%にも満たない些か寂しい数字となった。やはり、自身や家族に直接的に降りかかってくる問題ではないこともあり、価格や機能に比べて関心の薄さは否めない。若年層の20代、30代で、それぞれ34.4%、35.4%。非常に心もとない数字であることは残念である。

50代は52.0%と辛うじて過半数をキープしているが、高齢者全体と比べて、4ポイント水をあけられている。男女別では総じて女性の方が環境配慮商品への意識が高く、50代女性で59.1%と高率。反面、50代男性は44.3%に留まり、男女間での意識格差が大きい。

環境配慮意識が最も高いグループは、70代女性の64.9%。次いで60代女性の63.1%と続く。「環境配慮を心掛けている」率が60%を超えているのも、この両者のみである。

以上、4回にわたって調査の結果を駆け足で追ってみた。以下、ポイントを7つに絞って総括することで、稿を終えたい。独断、予断、推測が多分に含有されていることをお許しいただきたい。

ポイント1

買い物行動の好き嫌いの傾向は、40代と50代の間に、キャズムが存在する。買い物嫌いが進行しつつあるという点では、50代も高齢者層も同一線上にある。

ポイント2

50代が該当し、高齢者層に該当しないのが、新しい物への関心。年齢に拠る部分もあるが、「世代」固有の要因も多分にあり、見逃すことはできない。

ポイント3

若年層に顕著な「衝動買い」は、50代あたりまでその影響が連続する。年齢層が高くなれば、衝動買いも減少するが、70代女性は例外的に衝動買いが極大化している。

ポイント4

「多少高くても品質の良い物を選ぶ」傾向は、逆放物線を描き、50代で極小化する。世代特性により、負債や出費から解放されても、消費抑制傾向は残存する。

ポイント5

50代は、購買に際しての情報収集活動が最も綿密。上記同様、世代特性により高齢者になってもこの習性は継続するが、加齢により、少しは緻密な検討を緩める。

ポイント6

現在の高齢者層はブランドチェンジを厭わないが、ブランド選好の中で消費生活を営んできた、今の50代が、高齢者になってブランドチェンジに寛容になるとは考えにくい。

ポイント7

表示や説明を熟読玩味する50代の傾向は高齢者になっても維持される。但し、加齢により理解の衰えは防げないので、配慮のある情報発信がますます重要になる。

肯えるものもそうでないものもあると思うが、私見として、披瀝しておきたい。

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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