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「シニアが牽引する旅行市場」を疑ってみる(下)

(上から続く)
 旅行者数という側面から、年代別に見たのが図3.。旅行消費額と同様、60代が最も大きな数字になってはいるが、宿泊日帰り共に、40代とほぼツインピークを形成していることが特徴的だ。つまり、50代で一度落ち込んで、60代で再度盛り返しているのだ。

 この落ち込みの原因の一つとして推察できるのが、「資産形成期」の短縮、もしくは消滅であろう。50代の年収はひと世代前に比べて落ち込みが著しいのに加え、晩婚化等の影響により、大きな二つの荷物、即ち、教育費と住宅ローンを下ろし切れていない人たちが数多くいることも、落ち込みの原因として充分考えられることではないだろうか?

 本稿は、次世代シニアを論じるのが主題ではないので、本論に戻そう。

 このグラフでもう一つ特徴的なことがある。それは、「10代を除く全年代で、日帰り旅行者が宿泊旅行者を上回っている」ことだ。とくに旅行者数の多い、40~60代にかけては、宿泊旅行者数は日帰り旅行者数に大きく水を開けられている。本アーティクル(上)の冒頭でご紹介したように、旅行者数の伸びを下支えしているのは、ひとえに日帰り旅行者によるものだということがグラフの波形からも読み取れる。商品の主戦場では「旅行の小型化」が著しいのだ。

 シニア層が旅行において、必ずしもソート・リーダーシップを発揮しているわけではないことは、旅行者数を年代別に百分率で案分してみると、より明確にわかる(図4.)。各年代は意外にも、ほぼ同じような構成比になっているのだ。
 旅行消費額でやや優勢ぶりが目立った60代も、数の面からは目立たない1グループとして存在している。日帰り旅行で微妙な存在感を示しているに過ぎない。60代以上という大括りで見ても、宿泊、日帰りとも人口構成比33%にも達していない。つまり、人口の割には旅行者は少ないのである。

 シニアの旅行者は、女性が多い。少なくとも筆者はそんなイメージを抱いていたが、それもあながち正しいとは言えなくなった。

 宿泊旅行では(図5.)60代以降で辛うじて、10~20万人のオーダで女性上位だが、誤差範囲のことであり、ほぼ同数、同傾向で推移している。日帰り旅行では(図6.)宿泊旅行より男女の開きは大きいものの、60代以降の波形はほぼ重なり合っている。

 イメージとしては同性の「女子会ツアー」など、旺盛であるように思われるが、どうやらと特筆大書する程でもないらしい。

 最後に年代別の旅行単価をご紹介しよう。(図7.) 今まで縷々述べてきたことから、すでにご賢察のこととは思うが、ここでは、60代がトップの座を滑り落ちている。宿泊旅行では50代が、日帰り旅行では30代が、最も高い旅行単価を記録している。

 見てきたように、50代は旅行者数が落ち込む年代。しかし、旅行単価は高い。一見矛盾したようにも見えるこの2つの事実からは、「少ない旅行機会に1点豪華な消費を!」という思いも垣間見られる。そして、この消費スタイルは、この年代の世代的な特徴の一つでもあるのだ。

 以上、旅行についての意外な事実が明らかになってきた。考えてみれば豪華列車、四季島、瑞風、ななつ星に乗れる人は3つ合わせても一日約100人、一年間で36,500人、常に競争率10倍とみて36.5万人、というところがニーズのありどころだろう。3,600万高齢者のほんの上澄みの人たちであることは明白だ。

 むしろ、「旅行」のこれからの一番の課題は、70代以降の急激な低下をどう防ぐか、どう外に誘うかだと思う。外出がおっくうになってきた人たちが気軽にお出かけできるスモールトリップにもっともっと新しい商材が出てきてよい。

  日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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