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室長の小部屋

シニア年齢の後ズレと「2おろし世代」

昨年末にある製品に対して65~75歳を回答者とするグループインタビューを行った時のこと。その製品の購入意向を尋ねたときに、「こんなシニアの人が使うようなものは買わない」と答えた女性がおられた。プロフィールシートを見ると、72歳。72歳では自分はシニアとは考えていないのだなあ、ということを改めて思った。

「シニア」という言葉の定義が曖昧なので何歳から、と言うのは難しい。まだ、「高齢者」ほうがコンセンサスは得やすい。「高齢者」の定義はだいたい65歳(暦年齢)以上で合意されている。これは国連(世界保健機関 WHO ) の報告書がそのように定義したためといわれているが、1956年のレポートだから半世紀以上前の定義を踏襲していることになる。我が国の厚生労働省は高齢者(elderly people)を65歳と定義し、総務省も「推計人口」等の統計資料で65歳以上を「高齢者」としている。

では「何歳からがシニア?」。約10年前に政府により実施された「年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査」(※1)の中で「あなたは、何歳以上の人が『高齢者』『お年寄り』だと思いますか」という質問で「70歳以上」という回答が最も多い。他の調査でもだいたい70歳くらいが多い。

当研究室ではマーケティングにおいての「シニア」を次のように定義してきた

当研究室ではマーケティングにおいての「シニア」を次のように定義してきた

※ 一般的には65歳から

一方、高齢者の中では「シニア=お年寄り」と捉えている人が多い。そのためか高齢者自身の考えている「シニア年齢」はもっと「後ズレ」している。定量調査したわけではないが、グループインタビューや日頃接する高齢者の方から感じるのは、70歳前半では自分が高齢者の範疇に入ることを理解していても「自分がお年寄り=シニア」とは思っていない人が増えていることだ。

これからシニアマーケティングを考えるとき、高齢者自身が感じている「シニア」の年齢はもっと「後ズレ」しているというイメージを持っておくべきだろう。

シニアを何歳からかを定義することは難しいが、確実に「後ズレ」してきている

シニアを何歳からかを定義することは難しいが、確実に「後ズレ」してきている

では「シニア年齢」が後ズレするとどのようなことがおこるのか?
75歳からがシニアということが本人の実感とすればシニアマーケティングも大きく見直す必要がある。それは75歳という年齢がおおよそ健康年齢の終端とされており、それ以後はさまざまな身体的な障害が顕著になってくる。

75歳以降ではストック(資産)が十分あったとしても、消費という点ではかなり縮小してしまう。自分の廻りのその世代の方を見ていても、ストックに対して身体が不自由になると、いざという時に備えてできるだけ蓄えておこう、もし何かあったとしても子どもたちに少しでも残してあげたいと考える人が多い。

そこで、シニアの該当年齢が75歳まで後ズレしたとかんがえられるとき、注目したいのは60~75歳くらいまでの年代層で、人生の大きな2つ荷物をおろした人たちである。先の定義で言うと

◆ライフスタイルや身体に変化が訪れる年齢層
→身体的な変化、家族構成の変化、自分に費やす時間やお金の変化
に当たるが、

この層のことを「2おろし世代」と呼ぶことを提案したい。

社会で働き初めて結婚、子育てと歩んでいく中で背負う2つの大きな荷物。ひとつは「住宅ローン」、もうひとつは子どもの「教育費」である。住宅ローンは金額の差があるにしても数千万、教育費は一人に一千万~二千万、2人以上となればその倍数という大きな金額である。

手取り収入の4分の1が住宅ローンの返済、ということも珍しいことではない

手取り収入の4分の1が住宅ローンの返済、ということも珍しいことではない

この2つの大きな荷物を背負って頑張るのだが、ちょうど60歳くらいでまず住宅ローンを完済する。そして、55~60歳で教育費という荷物を下ろす。この荷物を下ろした時の開放感は味わったものでないとわからない。私の同期の飲み会でも「ローン完済」は乾杯のテーマである。まだ、終えていないものは羨望とあと少しの辛抱と思いながらグラスを合わせる。

日本の教育費も家計には過酷だ。かつて下宿をしている娘から真冬に「50円安い卵パックを自転車で20分かけて買いにゆく」と聞いた時に、親としてなんとも切ない思いをしたことが忘れられない(本人は全然、気にしていないのだが…)。
だから下の子どもが卒業して就職をした時は本当にやれやれと思うと同時に、これからは自分の好きなことができる、と思った(正しくは思い込んだ)。

私も60歳で雇用形態が変わり、少し早い時間に会社を出られるようになったこともあり、ご多分に漏れず考えたのが「教育=今日行くところ」と「教養=今日の用事」である。
「今日行くところ」はある資格セミナーに、「今日の用事」はコミュニティ活動に参加することにした。

ネットの学びは意味が無い。家族のため、ちゃんと「家を空ける」ことが重要

自分のための「教育費」。但し、外に出て「家を空ける」ことが条件

 私のような「2おろし世代」は今後、年金支給の延期でほとんどが65歳までは働くことになるだろう。所得は現役時代に比べれば少なくはなるが、荷を下ろしたお陰で自分のために使える金額は増える可能性がある。時間もゆとりが出来る。この「2おろし世代」はこれから後ズレしたシニア代わって大きな需要を生む可能性を持っている。

 まだ、体力的には十分だし、好奇心も衰えていない。ITにもある程度通じている(インターネットに40~50歳で出会っている)。
「今は健康だが、いつ病気や障害を持つ身になるかもしれない。それまでにやるべきこと、やっておきたいことをしておこう」と考えている。そういう面からも消費に対して積極的だ。この層に向けたさまざまな提案が欠かせないだろう。

※1(参考)平成15年度 年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査結果
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h15_kenkyu/html/0-1.html#csv

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