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85歳が一つのエポック。シニアの消費支出(下)

 図5.はモバイル通話使用料の高齢者年齢層別の支出傾向。

 現代の特筆すべきイノベーショナルな商品だけあって、「世代」の要素が色濃く反映された結果となった。誰にでも容易に諾える数字であろう。

 ただ、現在はこのようでも、今後この傾向は続かない。年代的(加齢的と言ってもよい)な影響をさほど受けない支出項目なので、10年、15年後には今の45歳以降の数字がスライドしてくるのはほぼ間違いがない。

 続いて、スポーツ施設使用料、パック旅行と言った、選択的支出項目について検討してみよう。

 図6.はスポーツ施設使用料支出。65歳以上を一括りにしたのでは、決してわからない事実がここでも浮かび出た。大方の肌感覚に反せず、65~74歳の支出が他の層を圧倒し、突出している。
 75~84歳ゾーンにかかると、支出減は35%の812円。落ち込みは急激なようだが、それでも全年代の中では3位をキープできている。

 さらに85歳以上ともなれば、落ち込みはより一層激しくなる。支出額は75~84歳比、約55%。1世帯1ヵ月あたり367円は、全年齢層断トツの最下位である。85歳を迎えてのキャズムは深い。

 同様に85歳ラインにキャズムが横たわっているのがパック旅行支出。

 図7.は、国内パック旅行支出。スポーツ施設使用料支出同様、65~74歳の支出が他の層を圧倒し、突出している。そして、
75~84歳ゾーンにかかると、支出減は26%の2,513円。さらに85歳以上ともなれば、支出額は75~84歳比、約65%。1世帯1ヵ月あたり879円は、34歳以下とほぼ肩を並べる最下位をマークしている。

 外国へのパック旅行ともなれば、この傾向はさらに顕著になる。(図8.)
 75~84歳ゾーンにかかると、支出減は30%の1,211円(65~74歳比)。さらに85歳以上ともなれば、支出額は75~84歳比で
なんと約81%減の230円にまで急落しているのだ。

 以上みてきたことから、次のようなことが推論できる。
①食費や住居関連など、生活基盤に関する支出は、年齢層に拠らず、意外に堅調に推移している。
②イノベーショナル商品は現状では、年齢層に拠る差異が明らかだが、比較的一時的な現象だと推察される。
③外向きの選択的支出は、加齢による影響が明らかで、その分岐点は85歳内外である。
 まとめて言えばこの3点であろう。

 とくに③の85歳という分岐点は興味深い。掲載したグラフを見る限り、従来の「お年寄り」のイメージは、85歳なのかもしれない。「シニアの後ずれ」に関して、当サイトでも折を見て触れてきたが、身体活動の不活性化が始まるのが80代も後半になってから…。とは改めて驚かされる。そういう目で親族や仕事関係の周囲を見渡せば、充分に首肯できることでもある。

 85歳以上が他の年齢層を圧倒的に凌駕している唯一の支出項目がある。それは入院料支出だ。(図9.)
 1ヵ月1世帯当たりの支出額は3,760円。65歳以上高齢者全体平均、2,320円を1,440円も上回る額だ。加齢に伴う不可避の支出だけに、年齢層が上がれば上がるほど額は大きくなるのは当然としても、85歳以上の上げ幅は飛びぬけて大きい。

 支出が外向きから内向きへ、攻めから守りへ。その大きなターニングポイントが現在は85歳である。時代・世代・年代の変数があるので、将来のことは断定できないが数字を見る限り、85歳で消費が変わるのは、現時点での事実であろう。

    日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
 

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