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「中食」を上手に使いこなす、シニアの食卓(上)

 中食市場の拡大の勢いが止まらない。その規模は2017年、10兆円突破する見通しだと言う。(※)過去10年を遡ってみれば、その成長率は22.6%に上る。伸び悩んでいる外食市場とは対照的だ。主戦場の一つ、コンビニ大手も、品揃え・品質・製造ラインの増強など、積極的に中食への攻勢を強めている。(※出典:「2017年版惣菜白書」)

 弁当や惣菜を買って家で食べる中食が伸びる背景には、高齢者・単身者・女性ワーカーの増加が影響していることは論を待たない。調理の効率、時短を追い求めている結果と直線的に想像が働くからだ。だが、詳らかに見れば、決してそれだけではないこともわかる。
 本アーティクルでは、シニアの「調理食品購入理由」から、意外な「中食観」を明らかにしてゆきたい。

 では、中食(調理食品)は、家計の食料消費支出の中で、どのような割合を占めているのだろうか。図1.は主要な用途分類のシェアを表したもの。元データは家計調査に拠る。

 主要用途分類の中で、圧倒的に目を引くのが外食だが、この割合を引き上げているのは、30~50歳代の若年、壮年世代であることがわかる。世帯主65歳以上の世帯ではそれほど驚くべき割合ではない。二人以上の世帯に限って言えば、生鮮野菜とそれほど変わらない数値だ。

 世帯主高齢者世帯のみを見れば、調理食品の存在感の大きさがまざまざとわかる。二人以上の世帯では全費目の中で首位を占めている。単身世帯でも、1位の外食と肩を並べる形で拮抗している。もっとも、30~50歳代の若年、壮年世代でもその存在感は大きく、中食は今や、老若男女を問わず広く消費者に浸透していると言えるだろう。

 図2.は食料消費支出に占める調理食品の伸び率を年齢階級別に見たグラフ。比較期間は2000年~2016年の16年間のスパン。

 年齢階級が上がるほど、調理食品の存在感が増していることが見て取れる。世帯主が比較的若い30歳代では、16年間に0.8%しか上昇していないが、50歳代だと3.1%、60歳代では2.5%(いずれも二人以上世帯)と高い増加幅を示している。

 最も高い増加幅を示しているのが、60歳代の単身世帯で、3.3%の増。
 乱暴な試算だが、高齢単身世帯を総世帯の11%とみて、中食市場10兆円の11%である1.1兆円が高齢単身世帯の中食規模。
伸び率3.3%を乗じれば363億円。16年でこれだけの市場が新たに創造されたことになる。

 高齢になるほど増える調理食品の消費支出割合だが、意外なことに高齢になるほど「調理時間を減らしたい」という方は減少してゆく。その傾向が上図からわかる(図3.は男性、図4.は女性)。60歳代の男性に至っては、「もっと時間をかけたい」方が24.5%にも上り、他の年齢層を凌駕している。調理が多少趣味的領域であるのかもしれない。

 男女間では、女性の方が「減らしたい」方の実数は男性をかなり凌いでいる。ルーティンの調理と気ままな調理の差が出ていると考えるのは穿ちすぎだろうか?

 一見矛盾するように見える「調理に対する考え方(調理に時間をかける)」と「調理食品の多用」の齟齬を埋めるニーズが調理食品にはあるのだろうか? 次稿では、調理食品の購入理由を見ながら、その実力を見てゆきたい。(中に続く)

     日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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