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「新・土着」が多数派。シニアの居住地移動考(上)

 シニア世代とは、ドラスティックな変化を経験する世代でもある。住宅や教育などの負債からの解放、子どもの独立に伴うエンプティネスト化、そして退職による生活リズムそのものの変化etc.…。そのような環境の下、住環境はいかに変化してゆくのか?
 リフォームや建替えなどは確かに60歳代がボリュームゾーンである。では、環境そのものの変化を招来する、居住地移動はどうなのだろうか? 都心回帰と言われる一方で、シニア世代の東京からの転出超過という現実もある。
 そのような話題性はともかく、多数派シニアの居住地移動の実態はどうなっているのか? 本アーティクルでは人口移動調査のデータを繙きながら、シニアの「お引越し」の現状を探ってみたい。

 図1.は、5年前と現在で前居住地と現住地が異なる割合を5歳刻みの年齢階級に分けてグラフ化したもの。平たく言えば、過去5年間に引越しをしたかどうかということだ。

 居住地移動が旺盛なのは、やはり若年層。成人に限って見れば、25歳から39歳の年齢階級で居住地移動のピークを形成している。転勤もあるだろうが、やはり住宅の一次取得という要因が大きいだろう。
 40歳以降になると居住地移動の割合は急落。50代以降は、概ね漸減傾向が続き、75歳以上では10%程度まで低落し、そこで落着きを見せている。
 データは詳細な数字を明らかにしていないが、シニア世代の過去5年間の引越経験率は、10~15%の範囲内であることがわかってきた。種々の意識調査の結果にもあるように、シニアは環境を変えたくないのである。

 10~15%のシニアは、なぜ引越したのだろうか? 図2.は移動理由が「住宅」にあると答えた人の割合を年齢化級別に比較したものだ。因みに「住宅理由」とは、住宅事情や、生活環境上の理由、通勤通学の便などを指す。つまり、疾病や就業など他の要因に左右されない、一次的な理由のことだ。

 移動理由が主として住宅にあると答えた人は、年齢が上がるほど多くなっている。ほぼ相関関係にあると言って良い。65歳以上の高齢者層では、46.1%とほぼ半数にあたる。
 常識的に考えれば、疑いなく肯えることだろう。住宅自体の老朽化、バリアフリーの問題、郊外坂道住宅地という足場や足の悪さに移動を決意しただろうことは想像に難くない。
 ただ、高齢者を一括りにしただけでは見えてこない事実もある。

 高齢者を5歳刻みの5つのクラスターに分けて、住宅理由の割合を比較したのが、図3.。
 これを見ると、住宅理由の割合が高いのは、70代までであることが分かる。65歳から79歳までの3つのクラスターは、いずれも50%にとどこうかという勢い。居住地移動は体力と気力の充実がなければできることではない。他の要因でしかたなく、転居するならいざしらず、主体的に住宅や住環境を変えていこうという意思は80歳に到達するまで持続できているということでもある。

 住宅理由の居住地移動は、80歳代前半でさすがに少し衰えを見せる。そして85歳以上ともなれば、住宅理由による居住地移動は、26.1%と大きく割合を減じてゆく。いくら若くなったとは言え、確かにここまでのお歳になれば、引越しは酷であろう。(中に続く)

    日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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