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減る有訴者、減らない通院者という事実(1)

 3月18日、日経新聞紙上に何とも重々しい字面の言葉が登場した。【重老齢社会】がそれ。
 「身体的な衰えが強まる後期高齢者が急増し、元気なアクティブ・シニアが活躍する構図は薄まり、高齢者をどう支えるかがより深刻に問われる時代が到来する」と記事では結んでいる。
 同記事では、後期高齢者の数が前期高齢者のそれを上回る可能性についても言及しているが、その可能性は現実のものとなった。このほど発表された、3月1日時点での総務省人口推計によれば、75歳以上の人口が65~74歳の人口をついに上回ったのだ。具体的な数字に直せば、75歳以上の人口が1,770万人。対して65~74歳の人口が1,764万人。わずか6万人の差なのだが、これはまさに大きな画期と言えると思う。

 平均寿命と健康寿命の差をどのように縮めるか…、急増する後期高齢者問題を考える上で避けて通れない社会課題であることは間違いない。だが、その前提として、後期高齢者はどのような自覚症状を抱え、どのような理由で医療サービスを受けているのか、その実態を把握しておく必要がある。それが社会課題の解決につながる目に見える処方箋だからである。

 本アーティクルでは、この【現状】を有訴者率と通院者率、2つの物差しで明らかにしてゆこうと思う。

 図1.は有訴者率を年齢階級別にグラフ化したもの。有訴者とは、病気やけが等で自覚症状がある人のこと。有訴者率とは、人口千人あたり何人が有訴者かを表した数字だ。

 年齢階級が上れば上がるほど有訴者率は上昇する。常識的に考えればもちろんそうだろうが、注目したいのはその上昇カーブだ。
 60歳未満までの5歳刻みの上昇カーブは比較的滑らかだ。概ね10から15の間で有訴者率は増えてゆく。このカーブが急上昇を始めるのが65歳以降。ことに最も大きな【伸びしろ】が65~69歳VS70~74歳の間の66、それに次ぐのが70~74歳VS75~79歳の間の51。つまり、60代後半⇒70代前半⇒70代後半と年齢階級のステップを上がるごとに、自覚症状を訴える人は、急増してゆくのである。

 大きなグループとして見れば、高齢者全体では、446と過半数を下回るが、75歳以上の後期高齢者全体で見れば、505と過半数を占めるようになる。つまり2人に1人は何らかの自覚症状を感じているということだ。
 前期高齢者では約400。後期高齢者とは100の差がある。乱暴に言えば、高齢者人口の10%が後期高齢者になって、自覚症状を感じる側へ移行するとも言える。このキャズムは見逃せるものではない。

 では自覚症状の具体的な症状は何だろうか?
 図2.は、男性75歳上の範疇で有訴者率100を超える(つまり10人に1人以上)症状を列記したもの。比較のために高齢者全体の数字を併記してみた。

 自覚症状で最も多いのが、腰痛でこれに続くのが「きこえにくい」という耳の症状。あとは、頻尿、もの忘れといった症状が並び、この4症状が突出している。腰痛は肯える結果だし、男性に特有の頻尿という症状も肯えないことではない。
 聴こえにくい、もの忘れするといった症状も、確かにそうだろうが、コミュニケーションにも関わる項目がここまで上位にランキングされるとは、いささか意外な結果ではある。(2に続く)

    日本SPセンター シニアマーケティング研究室  中田典男

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