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転落・転倒、階段、骨折。高齢者の家庭内事故(上)

高齢者の事故の過半数は、住宅等居住施設で発生し、中でも居室・寝室での発生率が圧倒的に高い。そして高齢者の方が重篤な結果を招きやすいことは以前のコラムでもご紹介してきた。本稿では、高齢者の家庭内事故のけがなど危害の種別、損傷部位などをより詳細に見てみた。その結果、巷間言われているように、「転落・骨折・階段」が高齢者の家庭内事故のキーワードとして浮かび上がってきた。
資料は国民生活センター発表の「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編」に拠る。

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図1.はケガなど危害の種類を、65歳以上の高齢者とそれ以外で比較したもの。
65歳未満では、事故者の3人に1人は、「刺傷・切傷・裂傷」という比較的軽症の危害がトップを占めている。この割合は高齢者では半減し、代わりに「擦過傷・挫傷・打撲傷」というやや重篤感のある危害がトップに躍り出ている。
注目されるのは骨折の数値。高齢者の割合は65歳未満から大幅にアップして、20%を超えている。高齢者家庭内事故者の5人に1人が骨折ということになる。これは決して看過できない数値だ。

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図2.は、前期高齢者と後期高齢者の危害の内容を比較したもの。
年齢層が上がるほど、「擦過傷・挫傷・打撲傷」「骨折」の比率は高くなっている。後期高齢者では、家庭内事故者の4人に1人は骨折という結果を招くに至っている。

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体のどの部位が損傷を受けたのか? 高齢者と65歳未満を比較したのが図3.。
ここでは、65歳未満と高齢者の間に際だった違いが見て取れる。65歳未満では、手指の損傷が圧倒的に多く、その他の部位は似たり寄ったりの傾向。一方、高齢者では、頭部がトップで大腿・下腿がそれに続く。
身体の部位に貴賤(?)があるわけではないが、重要な部位の損傷は高齢者の方がハイリスクであることがはっきりした。

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前期・後期の高齢者間で差はあるかどうかを見てみた。(図4.・図5)
前期高齢者は、65歳未満と同様な結果になっている。即ち、手指の損傷がトップで、以降、上腕(肩)・前腕、頭部、大腿・下腿と続く。
一方の後期高齢者では、トップが頭部、続いて大腿・下腿となっており、この2つが他の身体部位を大きく引き離すと言う結果になっている。
一度損傷するとダメージの大きな部位のリスクは、同じ高齢者と言っても、75歳以上の後期高齢者になってグッと高まると言うことだ。(下に続く)

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男