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次世代シニア、50代の消費意識考(65以上との異同を軸に)①

「次世代シニア」という言葉がメディア上で、散見される機会が増えてきた。消費の表舞台からフェィドアウトしてゆく、団塊の世代以降を見据えてのことだ。この「次世代シニア」、定義はまちまちだが、概ね、「ポスト団塊の世代」、「バブル世代」を指している。場合によってはバブル世代よりさらに若い「団塊Jr.世代」を含める論考もある。「Hanako世代」という際立った特徴を持つグループまで包含するケースもある。(各世代の概念については下記の模式図を参照されたい。)

このほど(2017年6月)消費者庁による「平成28年度 消費者意識基本調査」の結果がリリースされた。そこには、買い物行動や意識についての年代別データが多く寄せられている。本アーティクルでは、その中から基本的な項目について、65歳以上と50代の結果をピックアップし、異同があるかどうかを検証してみる。

50代は世代論的に言えば、ポスト団塊の世代の後期と、バブル世代の中期までを包含する。また、Hanako世代のすべてが包含される年齢層である。本稿は世代論を説くことを主眼としないが、年代と言う「流行」の中に、世代という「不易」が大なり小なり影響していることもまた事実である。果たして、興味深い結果は得られるだろうか?

まずは、最も根源的な設問、「買い物が好きか」を聞いたもの。(図1.)
全年齢層を平均した「当てはまる」人は全体の約60%。50代、高齢者ともに全年齢平均を下回っているが、50代はまだ平均値に近く、57%と過半数が「買い物好き」。一方、高齢者では、わずかではあるが「買い物好き」は過半数を割り込んでいる。態度を保留せず、「当てはまらない」と答えた人の率も高齢者で際立っている。

グラフからは除外したが、「買い物好き」の比率は年齢層が上がるほど低下する。20代、30代は69%という高率をキープしており、40代も66%とほぼ維持できている。それが80代以上では、46%まで低下し、最低値を記録している。
この低下曲線で大きなキャズムを成すのが、40代と50代の間で、一気に8.5%もの落ち込みを示す。

どんな買い物かにもよるだろうが、買い物行動自体が、面倒くさく億劫になるという、年代に帰属する心理は50代からすでに始まっていると見ることもできる。

図2.は、「新し物好き」かどうかを聞いたもの。もちろん財力という前提は必要だが、知的好奇心が旺盛かどうかの尺度にもなり得る設問である。「買い物好き」の設問と同様、こちらも「新し物好き」の比率は年齢層が上がるほど低下。成人に限って言えば、20代の55%から、80代以上の23%まで、振れ幅が大きい。

年齢上昇による低下傾向の中で、大きなギャップを形成しているのが、50代と60代の間。「新し物好き」は、50代ではほぼ40%(39.3%)に達そうかという勢いだが、60代では27%まで一気に12%も落ち込んでいる。高齢者全体と比べれば、さらに乖離の度を増し、16%もの開きになっている。

100%年代決定論に拠れば、今の50代も高齢者になれば「新し物好き」ではなくなるだろうが、一概にそうも言えない。世代的要素が多少なりとも影響を及ぼしているからだ。

今の50代の核を成す「ポスト団塊の世代」は、若い時にデザイナーブランドやテニス、スキーなどが流行した世代でもある。年齢を重ねても、新しい物への関心が褪せることはないかもしれない。
(②に続く)

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男