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健康状態の良否を決めるのは、年齢?、それとも?(下)

(中から続く)
上、中で見てきた「健康状態が良いか、良くないか」、「健康上の問題で日常生活への影響の有無」。過去と比べてどのように変化しているのだろう。本アーティクルでは、年齢階級別のデータを前回調査時の2014年と引き比べることで、変化の態様を明らかにしてみたい。

図8.は「現在の健康状態は良い」と肯定的評価を下した比率の変化をグラフ化したもの。意外な事実がわかった。
70歳代前半を境目に、それより下の年齢階級で「健康状態が良い」人が2017年は2014年を下回り、それより上の年齢階級では、2017年が2014年のそれを上回っている。つまり、3年間で比較的若いシニア層の「健康状態が良い」人が減少し、高齢になるほど「健康状態の良い人」が増加しているのだ。

積極的に「健康状態が良い」の下げ幅が最も大きいのが、55~59歳の現役世代。2014年の「健康状態が良い」比率は42.3%だったのが、3年後の2017年には28.9%。3年間でなんと13.8%も下落しているのだ。次いで下げ幅が大きいのが65~69歳の前期高齢者層で8.4%の下落。同じく前期高齢者に該当する70~74歳のグループは、2014年が28.7%、2017年が27.7%と株式用語で言えば小反落と言ったところか。

逆に75歳以上の後期高齢者層では、3年間で目覚ましい躍進を遂げている。75~79歳では2014年は16.8%、2017年は25.8%。9.0%というかなりの上げ幅を記録。80歳以上も2014年の14.6%から、2017年の21.9%へスコアを伸ばしている。
この両層、「まあ良い」を加えた「良い計」の数字でも、75~79歳で11.9%、80歳以上で13.1%と驚異的な伸び率を記録している。

図9.は図8の裏返しになるが「現在の健康状態は良くない」と否定的評価を下した比率の変化をグラフ化したものだ。図8.とはやや様相が異なっている。2017年の「良くない」とする回答比率が、55~59歳を除く全年齢階級で、2014年を上回っているのだ。数値的には小さなものだが、気になる数字ではある。

「あまりよくない」を足しこんだ「良くない計」では、70~74歳以下で増加、75歳以上の2つの年齢階級で減少。高齢になるほど3年前に比べて健康という趨勢を維持した。

最後に「健康上の問題による日常生活に問題の有無」について、2014年vs2017年で比較してみよう。(図10.)
「影響がある」の回答比率が2014年より下回ったのは80歳以上だけという結果になった。ほぼイーブンなのが、75~79歳で、残りの年齢階級では、小幅ながら軒並み「影響がある」回答比率を高くなっている。

人生100年時代という言葉も定着した感がある。たしかに、75歳以上、あるいは80歳以上での「健康である」という意識は向上している。喜ばしいことではあるが手放しで喜べないのもまた事実だ。シニア予備軍、前期高齢者といった比較的若いシニア層の健康が危うい兆しを見せ始めているからだ。

コーホート的な要因も大きいのかもしれない。影響力があるのはやはり食生活だろう。かつては長寿県言われたところがその座を滑り落ちたように、食生活の変化と健康は大いに相関している。次代の後期高齢者層は、到底人生100年など望めない…。そうはなりたくないものである。

株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男